技術研究所金属機能材研究部
容器材料グループ
S.T.
2015年度入社
広島県出身
大学での専攻は無機化学
東洋鋼鈑を知ったきっかけは、出身大学からの採用実績があったことでした。就職活動中、出身地方へのUターンを検討しながら会社情報を調べていく中で、ぶりきから始まりMD、化成品とさまざまな分野の素材を作り出す"Beyond Steel"という東洋鋼鈑の企業文化を知りました。企業説明会や面接での先輩社員の雰囲気にも惹かれ、入社を決意しました。また、地域に根ざした企業でありながら、グローバルに活動を広げようとしている点も魅力に感じました。
入社直後は、缶用材料を扱うラミネートの技術部門に配属となりました。その後、3年目でラミネート製品の海外展開を行うアメリカ拠点に赴任し、新工場の立ち上げ業務に従事しました。手探りで仕事を進めることが多く苦労もありましたが、そこで培った経験をもとに、現在は研究所でラミネート製品に使用するアルミ板の新表面処理の開発に携わっています。
新表面処理は現在広く使われている化学的な表面処理に比べて、樹脂との密着性と環境に対する負荷の少なさの両面において優れています。現在は実機スケールでの性能検証フェーズに差し掛かっており、最適な条件検討のためにさまざまな実験を実施し、得られた結果をもとに実機での操業条件を提案しています。実機は過去に赴任していた海外事業所に設置されており、現地との間には時差がありますが、密にコミュニケーションを取りながら進めています。
新しいことに取り組むことにこそ、やりがいがあると思っています。海外赴任当初は、失敗を恐れるあまり業務に対して消極的でしたが、海外事業所には限られた人員しかおらず、やがて業務が滞るようになりました。そこで、周りにアドバイスをもらいながら、自分で試験を計画することに。その結果、サンプル評価を通して新たな知見を得ることができただけでなく、それを生かして次に取り組むというサイクルを回すことで、業務の停滞も解消できました。
ラミネートではなく金属側の表面処理に取り組むようになってからも、新しい装置の使い方を覚え、周りにアドバイスをいただきながら知識の不足を補い……と、毎日新たな知見を得ています。
アメリカの拠点で新工場を立ち上げ、初めてラミネート製品を出荷したときです。設備の完成後、新規採用したオペレーターと悪戦苦闘しながらラインを稼働させて試作材の作製を行いました。最初は設備にも品質にもトラブルが頻発しましたが、日本から技術的なアドバイスをいただきながら日々試験を繰り返しました。それから約半年後、最初の製品である量産コイルを出荷できました。
仕事のスピード感です。これは海外赴任時に経験したことですが、あるプロジェクトを一緒に行っていた取引先に試験材を納入した際、その日のうちに実機でテストされたようで、すぐに結果のフィードバックがありました。実機での試験となれば日本では数週間かかることもあるので、そのスピードに驚きました。それと同時に、このプロジェクトに対する先方の熱意が伝わってきて、こちらも頑張って応えようという気持ちになりました。それ以来、相手に良い印象を持ってもらうためにも、できる限りスピーディーに仕事を進めることを意識しています。
現在開発中のアルミの新表面処理は、缶用材料だけでなく電池や自動車部材、建材など、あらゆるアルミ製品の塗装下地として使える可能性を秘めており、ほかの用途に適用した場合の特性も評価中です。まずは、この新表面処理を製品化することに取り組んでいるわけですが、今後、事業が拡大すれば海外展開も考えられます。もしもそれが実現した場合は、今度は工場をまとめる立場で海外での仕事に再挑戦したいと考えています。
東洋鋼鈑は、社名からは想像できないようなユニークな事業を行っており、それを支える研究テーマも豊富です。学生時代の専攻とは異なる分野の業務を任されている社員も少なくありませんが、知識は実務の中で習得できるので、現在の専攻にとらわれずに入社を検討してもらえればと思います。