ハイトップはぶりきの発展型素材として、様々な分野で応用されています。
昭和9年の創業以来、容器用材料としてのぶりき/ティンフリースチール製造を通してお客さまとともに発展してまいりましたが、お客様と培った技術をさらに進化させ、環境問題の解決に貢献できる新たな用途展開に注力します。
ぶりきの発展型素材として、当社が世界で初めて工業化に成功した素材、それがハイトップです。ハイトップはティンフリースチール、つまり、めっきプロセスに錫を使わない鋼板で、電解クロム酸プロセスを用いて鋼板上に均一かつ薄い被膜を形成します。耐食性、塗装性に優れたハイトップは、王冠、瓶詰め用ホワイトキャップ、印刷製版材と幅広い用途でご利用いただいております。
安心できる加工性
塗料の密着性が極めて強固で加工が容易です。また、塗装とのなじみが良く、塗装印刷後の表面が美麗です。
高い耐熱性
高い耐熱性を持ち、高温塗装焼付け(400度程度)に耐えられます。アルカリ性及び中性にも強く、無塗装で使用できる場合があります。
抜群の耐食性
極めて薄い被膜ですが、優れた耐食性を持っています。(食品衛生法に適合しています。)
製品紹介
ハイトップ(HT)
冷延鋼板の表面に電解クロム酸処理を施した表面処理鋼板であり、高価な錫めっきの代替として東洋鋼鈑が1961年に世界初の商品化(ハイトップ、Hi-Top)に成功しました。
WHT2/D-WHT
鋼板表面に微量の錫をめっきすることにより、溶接前にめっき被膜を研削せずに良好な溶接が可能であり、研磨粉による製造設備の汚染が防止できます。
ハイトップに比べて加工工具に対する滑りがよいため、加工用の潤滑剤が不要です。
D-WHTは、片面がハイトップ処理です。
用途
- 王冠
- 缶詰
- 飲料缶
- 金属製キャップ
- 18リットル缶
- 菓子缶
- スプレー缶
- 家電製品の外装部品
- 電気電子部品
関連サイト
たとえば!
王冠(ハイトップ)
王冠で閉じられた瓶を開ける瞬間は、いつもとは違う高揚感やよろこびがあります。祝いの席や特別な日の宴に、東洋鋼鈑は華を添えます。
製造工程
缶用材料をはじめ幅広い用途に使われるハイトップは、用途に適した特性を確保するため、厳しい品質管理のもとに製造しています。
特性
製品 | Hi-Top | ||||
---|---|---|---|---|---|
Hi-Top(TFS) | K-3 HT | WHT-1 | WHT-2 | ||
溶接性 | RC値(mΩ)1 | 100~200 | 30~70 | 0.1~0.3 | 0.1~0.3 |
評価 | × | △ | ○ | ○ | |
耐錆性 | 塩水噴霧テスト2 | △ | × | △ | △ |
塗料 密着性 | カップ加工密着テスト3 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
Tピールテスト4 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
- 1 RC値 : 試料に205℃で20分の熱処理を施した後、当社製RC測定装置で接触電気抵抗を測定(RC値:小→溶接性:良)
- 2 塩水噴霧テスト : 35℃、5%の食塩水を2時間噴霧→目視評価
- 3 カップ加工密着テスト : ラッカー塗装→カップ加工→カップ壁面の塗膜をテープで強制剥離→目視評価
- 4 Tピールテスト : ラッカー塗装→5mm幅にカット→試料片2枚をナイロンフィルムを介し熱圧着→引き剥がし応力を測定
溶接性
下図は、製缶用シーム溶接機での溶接可能電流範囲の一例を示したものです。
溶接性の良い材料は広い溶接可能電流範囲をもっています。
製造可能サイズ
製造可能範囲は、各仕様(板厚、板幅、調質度等)の組み合わせにもよりますので、特に板厚上下限のものと板幅上限のものとの組み合わせ仕様については、ご相談ください。
特殊仕様については、その都度ご相談ください。
シート
通常製造範囲 | 製造可能範囲 | |
---|---|---|
板厚(mm) | 0.15~0.50 | 0.13~0.60 |
板幅(mm) | – | 670~1,060 |
長さ(mm) | 510~1,070 | 460~1,110 |
コイル
通常製造範囲 | 製造可能範囲 | |
---|---|---|
板厚(mm) | 0.15~0.60 | 0.07~0.80 |
板幅(mm) | – | 670~1,060 |
フープ
通常製造範囲 | 製造可能範囲 | |
---|---|---|
板厚(mm) | 0.15~0.50 | 0.13~0.60 |
板幅(mm) | 30~500 | 10~500 |
規格品
ハイトップはJIS G 3315に定められた規格に基き、厳しい品質管理のもとに製造しています。
調質度(テンパーグレード)
調質度記号 | 硬さ(HR30TSm) | 特長 | |||
---|---|---|---|---|---|
厚さt(㎜) | |||||
t≦0.210 | 0.210<t≦0.280 | 0.280<t | |||
一回圧延 | T-1 | 50±4 | 49±4 | 48±4 | 特に優れた柔軟性 |
T-2 | 54±4 | 53±4 | 52±4 | 中程度の柔軟性と強靭性 | |
T-2.5 | 56±4 | 55±4 | 54±4 | 柔軟性とほどよい強靭性 | |
T-3 | 58±4 | 57±4 | 56±4 | 適度の強靭性 | |
T-4 | 62±4 | 61±4 | 60±4 | 比較的大きな強靭性 | |
T-5 | 66±4 | 65±4 | 64±4 | 優れた座屈抵抗 | |
二回圧延 | DR-8 | 72±4 | 優れた剛性・強度 | ||
DR-9 | 75±4 | 優れた剛性・強度 | |||
DR-9M | 76±4 | 優れた剛性・強度 | |||
DR-10 | 79+3,−4 | 抜群の剛性・強度 |
めっき量(片面)
金属クロム層 | クロム水和酸化物層 |
---|---|
50以上 150以下 | 5以上 35以下 |
表面仕上げ
表面仕上げ名称 | 記号 | 表面粗度 目標値μmRa | 特長 |
---|---|---|---|
ブライト | B | 0.25 | 一般用に用いられる光沢のある仕上げです。 |
軽粗面 | BR | 0.30 | 二回圧延製品のみに用いられる、軽い砥石目のある仕上げです。 |
粗面 | R1 | 0.40 | 砥石目のある独自の仕上げで、表面のキズが目立ちません。 |
マット | M | 1 | 方向性のないダル仕上げです。 |
製品に関するお問い合わせ
缶材営業部 缶材グループ
電話:03-4531-6860